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【二月三十日】【草すべり その他の短篇】 他人の人生 [本]

新刊の短編集を2冊読みました
曽野綾子さんの本は 以前読んだ『貧困の光景』に通じる
普通に暮していると思いを馳せることもないような
他人の人生が書かれています
しかもそれがすべての章において
聞き書きや他人の日記を読むという形でつづられます
小説の一人称が 他人または知り合いの話として語る物語
なのにとても真実味があって不思議
いろいろな世界を見て 綿密な観察眼を持って
人の生きる姿を見てきた人なんだなぁと
まだまだひよっこのわたしは思います
わたしはわたしの人生しか生きられないから
なるべくたくさんの本を読み 映画を観
いろいろな人の人生から 学びたいと思います

二月三十日

二月三十日

  • 作者: 曽野 綾子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/06
  • メディア: 単行本


『阿弥陀堂だより』の作者の短編集は
主人公が作者自身のように思われます
群馬で生まれ医者になって長野に移り
その激務から精神のバランスを崩し
ある章では早期退職をし
ある章では自分をだましだまし働き
ある章では同僚に負担を強いながら軽い勤務をこなし
そのどれもが作者自身の姿のようです
でもやはりテーマは他者の人生
悩みながら生きて壮年にさしかかった主人公が
それ以上に波乱に満ちる他人の人生を思う
風景にはいつも浅間山がある
とても苦しい思いの主人公だけれど
山を見上げていたらなんとかなるのかもなぁと
やっぱりひよっこのわたしは思います

草すべり その他の短篇

草すべり その他の短篇

  • 作者: 南木 佳士
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/07
  • メディア: 単行本



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【カイシャデイズ】働く人なら [本]

または 働いたことのある人なら
あるあるこういうこと と思いながら楽しく読める小説
短編集なんだけど 全部同じカイシャの中のこと
章ごとに主人公が交代し さっきの章の主人公が
脇役で出てくる
最初はよくある会社のよくある愚痴話 みたいに
斜めに読んでいたけれど
なぜか最後の社長の章を読み終えるとき
こみあげるものがありました
働くって 素晴らしい
特に崇高な目的がなかったとしても 素晴らしいんだよ
これドラマ化しないかなぁ 群像劇って感じでいろんな人出てきて
楽しいドラマになると思うんだなぁ

カイシャデイズ

カイシャデイズ

  • 作者: 山本 幸久
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/07
  • メディア: 単行本



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【年下の男の子】 軽く読みましょう [本]

好きなのは サスペンス ミステリー 時代物 戦争物
だけどときには軽ーく恋愛モノも読んでいます
と言ってもひとひねりないと物足りません
ご都合的な展開はキライ
なのにこれはおもしろく読めた
37歳のお局化したOLと23歳の契約社員の男の子の恋
ありえないでしょ と思いつつ そこは小説
ありえるかも という気にもなってくる
著者は男性なのに このヒト女心わかってるかも
しかし読み終えて考えてみると...
14歳年下の例えば同僚など思い浮かべてみると...
ヘタすると息子!?くらいな感覚です
現実にはそんなもんよね だから小説がおもしろいのだけど

年下の男の子

年下の男の子

  • 作者: 五十嵐 貴久
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2008/05/16
  • メディア: 単行本


その他最近読んだ恋愛モノ
すべて食べ物にからめた短編集
不思議な雰囲気が漂います
悲しいシチュエーションも食べ物の記憶が和らげてくれる

ベーコン

ベーコン

  • 作者: 井上 荒野
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 単行本


8人の女性作家によるアンソロジー
こんな本から お気に入りの作家が見つかるかも

最後の恋

最後の恋

  • 作者: 阿川 佐和子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/12/20
  • メディア: 単行本


読み始めて驚きました
『博士の愛した数式』『ミーナの行進』を書いた
同じ作家の手によるものとは思えない
でも読みすすめるうちに その底に流れる優しくて悲しい空気
やはり同じ世界の物語だと感じます 悲恋のおはなし

ホテル・アイリス

ホテル・アイリス

  • 作者: 小川 洋子
  • 出版社/メーカー: 学習研究社
  • 発売日: 1996/11
  • メディア: 単行本


恋よりも愛よりも 家族よりも恋人よりも
大切なものを持っている男の人は
きっとすごく輝いているのだろうと思う
だけどすごく 迷惑な存在なのだとも思う
文楽の世界に生きる若者のお話です

仏果を得ず

仏果を得ず

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2007/11
  • メディア: 単行本



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【ジーン・ワルツ】 医学モノ [本]

映画にもなった『チームバチスタの栄光』は同僚に借りて読みました
全然なじみのない世界だというのと
台詞も文体も 喩えや逆説を多用したわたしには難しいもの
「普通そんなこと言わんだろ」と思いながらも
「お医者さんってこんな感じ?」と想像しながら読みました
このジャンルは 別世界だから楽しめる読み物

その海堂尊の新刊です
大学病院の産婦人科と 不妊治療も手がける街の産婦人科が舞台で
主人公は「冷徹な魔女」と呼ばれる顕微鏡化人工授精のスペシャリストである女医さん
なじみのない医学の世界で 唯一患者として足を踏み入れたことのある分野だから
バチスタほど難しくなく読みすすめられました

おもしろかった 2日ほどで読んでしまった
いろいろ深く突っ込まなければ純粋に楽しめる
けれどもいろいろ考え始めたら違和感や疑問点がいくつも
小さいところでは「人工授精」と「体外受精」の定義
顕微鏡下で行うのは「体外」と思っていたがこの小説では「人工授精」との表現
わたしが受けていた頃とは定義が変わったのだろうか
しかも「体外受精」だと思ってたけど「体外”授”精」と表現されている
あれれ どうなんだっけ

お話はこれに代理母問題もからみ
さらに産婦人科の責任が過大になることにより携わる医師の減少
そして地方からお産を扱う病院が消えていく問題...
重い 重いのです

半分真剣に 半分フィクションと割り切って読まないとね

ジーン・ワルツ

ジーン・ワルツ

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/03
  • メディア: 単行本


チーム・バチスタの栄光

チーム・バチスタの栄光

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2006/01
  • メディア: 単行本


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【モーニング】 友情とは違うもの [本]

小説が好きですが乱読派なわたし
新聞や雑誌の書評欄で紹介している本や
おもしろかった本についてる広告の本を次々予約して読んでいます
これはアンパパさんの持ち帰る会社のグループ内報で
紹介していた小説です
当然小路幸也という作家さんは初めて知りました

フィクションには
まるで自分のことを書いているかのようにそのまま理解できるものと
まるで想像したこともない自分とは別の世界のお話だからおもしろいものが
あると思います

『モーニング』は前者でした
大学時代をともに過ごした5人の男たち
45歳でそのひとりが亡くなり 久しぶりに顔をあわせた
ある理由でその後しばらくの時間を4人で過ごし
あるせっぱつまった理由で当時のことを思い出していくうち
わかってくるいくつもの事実
そして最後までわからない事実

自分にはそれと同じような経験はないとしても
でもその頃と同じ空気を味わったことは誰もがある
だから 彼らの気持ちがわかる だんだんわかってくる
友情とひとことで表せるものではない 仲間に対する思い
最後は 希望のある終わり方なのに 少し悲しい
だけど そうやって生きていくしかないんだ
わたしも

大学生って 大人のようなつもりでいるけど
振り返ってみると全然大人じゃない
ここまで大人になってみるとよくわかる

でも 還暦を迎えた頃に振り返って
40の頃なんてまだまだだったな とか思ったりしてね

モーニング Mourning

モーニング Mourning

  • 作者: 小路 幸也
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2008/03/19
  • メディア: 単行本



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【楽園】 世の中は いい人と悪い人に分けられる? [本]

読み終えました...宮部みゆき『楽園』
図書館で予約を入れて借りているため
上巻を読んだのが何ヶ月前?なので記憶を掘り起こしながら
下巻を読みました
まぁ覚えているもんです
雰囲気だけは^^

宮部みゆきさんの小説は、時代物と現代のサスペンス物が好きです
この『楽園』は『模倣犯』の9年後に『模倣犯』のルポライターが
遭遇するある事件(読みすすめる間に事件はもっと増える)のお話
こちらも何年前?の『模倣犯』の記憶を掘り起こしながら
それでも『模倣犯』読んでなくても覚えてなくても楽しめます

宮部さんの小説では
多くのいい人と一握りの悪い人が出てくる
【いい人】の中には自分のことしか考えてないずるい人や
どうにもならなくなって犯罪を犯してしまう気の小さい人も含むけれど
やっぱり大すじでは【いい人】で
そして少しだけの【悪い人】が存在する
その【悪い人】は矯正などできるわけなどなく
大多数の普通の【いい人】が翻弄されてしまう
【いい人】たちが束になってかかって【悪い人】の悪を排除しようとしている

実際の世界もそうなのだろうか
最近特に増えた小学校からの不審者情報メールに
【悪い人】増えてるんじゃないか とか
【いい人】に見えて実は【悪い人】がかなりいるんじゃないか とか
【いい人】と【悪い人】の境目ってわかるわけないんじゃないか とか
思ってしまいます

ともあれ『楽園』
最後はわたしはハッピーエンドかなと思った終わり方
人によって捉え方が違ってくると思うけど
わたしは
読んでよかったな


楽園 上 (1)

楽園 上 (1)

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/08
  • メディア: 単行本



楽園 下

楽園 下

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/08
  • メディア: 単行本



模倣犯〈上〉

模倣犯〈上〉

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2001/03
  • メディア: 単行本



模倣犯〈下〉

模倣犯〈下〉

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2001/03
  • メディア: 単行本



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【ジバク】 転落する人生 [本]

図書館で借りた本ですが
表紙の色がすごくてタイトルもインパクトありなのがどどーんとでかく書いてあって
電車で開くのを躊躇するほどでした
電車で読みましたが

転落人生を書かせたら右に出るものはいないのではないか
と思わせるうまさです
頂上から徐々に下りてくる生活
がらりと変わる場面
どの職業 環境もとても説得力ある書き方をしてあり
現実味があります
それだけ恐怖がひしひしと迫ってきます

転落したくない...!
読み終えてそれだけを思いました

男性版 『嫌われ松子の一生』といったところでしょうか
今まで読んだこの人の本で
いちばんよかったのは『天使の代理人』
やっぱり転落と言えば転落するのだけれど
主人公とても頑張ってます
読み終えたとき「よかった...」と思えます
『ジバク』を読んだら『天使の代理人』
セットで読まないとつらすぎるかも

ジバク

ジバク

  • 作者: 山田 宗樹
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2008/02/22
  • メディア: 単行本



天使の代理人

天使の代理人

  • 作者: 山田 宗樹
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2004/05
  • メディア: 単行本



嫌われ松子の一生

嫌われ松子の一生

  • 作者: 山田 宗樹
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2003/01
  • メディア: 単行本



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